珍しく、今日は堂上だけが公休日となった。
いや、正確には郁も公休日だったのだが柴崎の頼みで子供達へのお話会へと手塚ともども借り出されているのだ。
小牧は小牧で体調を崩した隊員の変わりに出勤している。
どうやら公休日の交換をすることで話が付いているらしい。
仕事でも、プライベートでもいつも一緒に居るせいだろうか?
郁が傍に居ないということに対して少しだけ寂しいとさえ思う。
同時につまらない――…とも。
「まぁ、こればっかりはな…」
つい苦笑いをしながら洗濯物を一枚一枚綺麗に干しながら独り言を呟く。
もちろん、衣類の端々を叩いて皺を伸ばすのも忘れずに。
不意に堂上は笑みをこぼした。
ついこの間アイロンがけのことで郁がぶすくれたのを思い出したからだ。
どうやっても堂上のように綺麗に出来ない! と。
「くくくくくっ」
まったく――…。
子供のころから家事をこなしている自分と郁とでは年季が違うというのに。
それでも郁は張り合おうと意固地になる。
やはり奥さんとして面子がたたないのだろうか?
まぁ膨れっ面の郁も可愛いから好きにさせてはいるが。
「しかし、眩しいくらいいい天気だな…」
来週の公休日、邪魔されずに休みが取れるならどこかに出かけるのでもいいだろう。
久しぶりにカミツレでも飲みに行こうか?
ぼんやりと思考を漂いながら最後の洗濯物を乾し終える。
梅雨明け宣言が出てからというもの、ここ数日ずっと晴天が続いている。
なにより洗濯物がすぐに乾くのは体を動かす堂上たちには嬉しい限りだ。
郁曰く「木々の緑も前よりも濃くなって綺麗です」と。
あまりそういったことに関心はなかったのだが、落ち着いて見回すと確かに図書館を含めたこの場の緑は五月ごろに比べるとぐっと色味が濃くなった気がする。
他の色彩もより鮮やかになった気さえするのだ。
照りつける太陽が眩しくて、手で光を遮りながらふと思いにふける。
今でもなお鮮明に思い出すことが出来るのだ。郁との出来事の一つ一つを。
「こんなにも穏やかな日々を過ごせる日が来るとはな…」
はためく洗濯物を眺めながら夏の匂いをかみ締める。
同時に香る、微かなカミツレの匂いに――逢いたい――と。
「とっとと掃除も終わらせて顔を見にいくか――…」
柴崎にからかわれるだろうがたまにはそれでもいいか、と堂上は穏やかに笑った。
堂上の姿を見つけた時の嬉しそうな郁の表情を思い出しながら――…。
〜 Fin 〜
【 Blog初出:2008/07/23 // 堂上教官バトンより 】