赤い月が夜の空を支配し終えた頃、堂上は眠っている郁の髪を撫で始めた。
優しい眼差しを向けたまま、頭の形をなぞるように幾度も。
けれど、時間が経つにつれ徐々に堂上の顔に変化が表れた。
面白そうなものを見つけたときに見せる狩人のような目つきへと――…。
「んっ……」
髪をすいていたはずの手は徐々に下へと向かい、郁の頬を撫で唇の形をなぞる。
開いた手を郁の顔の直ぐ横に置き、未だに目覚めない彼女の白い喉に口付けた。
二度、三度と口付けてゆけば抑えていた堂上の本能が呼び覚まされる。
ふわりとカーテンが揺れ月明かりに郁の白い喉が照らし出された瞬間、堂上の枷が外れた。
まるで喰らい付くかのように郁の喉に舌を這わせて、反応を確かめてゆく。
眠っているはずの郁にも徐々に変化があらわれ舐められて濡れた唇から小さな甘い吐息がこぼれ始める。
それに気を良くした堂上は更に大胆な行動に出る。
洋服の隙間から手を差し込み、胸を揉みだしたのだ。
いけないとは分かっていても堂上はこの欲望の灯火を消すことが出来なかった。
強弱をつけ、ときおり先端をこするように触れれば郁から甘い声が出てくるのだ。
悩ましげな、それでいて艶を帯びた堂上の好きな声が――…。
静かな夜の、それも限られた空間の中では意外とその声は大きく聞こえるもので、堂上は思っていた以上の興奮を覚え苦笑いする。
自分自身が酷く浅ましく思えるが、それ以上の喜びを得ている今、やめられそうに無い。
「意外と起きないもんだな」
なかなか目覚める気配の無い郁を思いながらエスカレートしてゆく行為。
ここまでくればどこら辺で起きるか試してみたいと思うのは男の性か、それとも飢えているだけの欲望か――…。
すでに堂上には判断出来ないところまでこの行為にのめりこんでいた。
〜 Fin 〜
【 初出:SNS-2009/02/11 】