甘イ熱


 柔らかいものに触れていると人は落ち着く。
 さらにソレが甘く、触れているだけで心が満たされればなおさらだ。

「んっ――…」

 背を向けて眠る郁のうなじに顔を寄せ、一瞬だけ口付けた。
 同時にほのかに香る郁特有のにおいを感じ、笑みがこぼれる。
 なにより目が覚めて隣を見れば愛しい女(ひと)が居るのだ。
 それがどれだけ堂上の心を満たすのか、寝ている郁には分からないだろう。
 愛しいという気持ちがあふれ出し、時にソレが暴走してしまうほどなのだから。

「公休日明けはつまらないな…」

 呟かれた言葉は郁に届くことなく闇へと掻き消えた。
 起さぬようにと気をつけながら、郁の体へと手を伸ばす。
 そのまま後ろから抱きしめるように、郁の体をそっと抱き寄せて目を閉じる。
 微かに香る甘い匂いに心地よさを感じながら――…。


     〜 Fin 〜

【 初出:SNS-2009/04/02 // 甘イ熱*堂上編 】