――大好き。
旦那様である堂上の背中に引っ付いてこっそりと呟く。
読書に熱中しているのだからおそらく気がつかれないだろうと、読んでの行動だ。
結婚してからすでに半年。どうにか今の新婚生活というものにも慣れてきた。
けれど郁の心にはなかなか平穏は訪れてはくれない。
ちょっとした些細なことで堂上に惚れ直すのだ。ことあるごとに。
今日だって女性特有の理由で体調がまりよくない郁を気遣って御飯の支度を率先してしてくれた。
格好いいなぁと同時に自分にはもったいないくらいいい旦那様だ、と思う。
ぺったり。すりすり。
堂上に抱き締められるのが凄く好きで、でも自分からするのにはまだちょっと抵抗があるから――と
変わりに背中に引っ付き始めたのがきっかけだったのに、今ではこれをしないとどこか落ち着かない。
でも読書に熱中している堂上にしか出来ない。一度やってみたけど無理だった。
緊張しすぎて、意識しすぎて逆に心配されたほどだから。
――えへへ。大好きです。
思いがあふれて、自然と言葉が出てくる。篤さんも同じだといいな、なんてさえ思う。
恥ずかしいけれど、でも――もう少しだけこのまま。
そのまま体を堂上の背に預けて、そっと目を閉じた。
開け放たれた窓から夏の匂いがした――…。
〜 Fin 〜